ほしぐみ げき 「ありときりぎりす」

ほしぐみの出し物は「ありときりぎりす ~こすもす ばーじょん~」です。

 ご存じのように、原作は 食べ物が少なくなる冬に備えて普段からせっせと働くことを教えるお話です。それはそれで大切な教訓の一つです。こすもすばーじょんでは ちょっと違った視点から 「好きなことを仕事にするって自分も元気が出るし、みんなも元気にするよね、それぞれ得意なことを仕事にしてそれぞれ協力しあって生きていくって素晴らしい」という筋立てにしました。

 おはなしは 夏の暑い日、ありさんたちが汗をかきながらせっせと食べ物を集めている場面から始まります。おせんべいのかけらや おにぎりを見つけて ますますやる気が出るありさんたちです。

 そこへやってきたのはてんとう虫さん。歌うことが大好きで、ありさんたちに「ミックスジュース」のうたを歌ってくれました。「じょうずだね、ありがとう」 拍手するありさんたち。てんとう虫さんが「すきなことをするって ほんとうにうれしい気持ちになるね」と言うと ありさんたちも「そうだね。ぼくたちは体を動かすことがだいすき。いいものを見つけられるともっとうれしくなるよ」と言います。

 つぎにやってきたのは バイオリンをひくことが大好きな きりぎりすさんたち。「友だちがげんきになってくれたらうれしいな」と心をこめてバイオリンをひきます。

 バイオリンの音色に引きよせられて ちょうちょさんもやってきました。ちょうちょさんは踊ることがだいすき。踊っているだけでうれしい気持ちになるんですって。ちょうちょさんたちは音楽に合わせて素敵な踊りをみせてくれました。それをみて きりぎりすさんたちは わくわくたのしいきもちになりました。

 

 そうこうしながら ありさんたちは「みんなで力を合わせるといやなことも楽しくなるね。」など話しながら  夏のあいだ中 せっせと食べ物をあつめつづけました。

 それを見てきりぎりすさんたちは「アリさんはいつも はたらいて えらいなぁ。先のことを考えているんだね」と思いました。

 いっぽう、ありさんたちは きりぎりすさんがバイオリンを奏でて、たのしませ、元気にしてくれていたので、とてもありがたく思っていました。

 『やがて 冬になりました。のはらには もうたべるものはありません。とうとうゆきがふり始めました

 ありさんのおうちには食べ物がたくさんありました。そこへ おなかはペコペコ、寒くてこごえそうに なっている きりぎりすさんたちがやってきました。

 ありさんたちは きりぎりすさんたちに「はやく家の中にはいって、はいって。これからごはんをたべるところだから一緒にたべよう。」と こころよく言ってくれました。きりぎりすさんたちはそれをきいて「ありさんが夏の間中せっせと集めた食べ物をぼくたちがもらってもいいの?」と聞きました。するとありさんは「何を言ってるのさ、きりぎりすさんのバイオリンを聞いてとっても幸せな気もちになって、元気がでたんだよ。だからえんりょしなくていいんだよ」と言いました。きりぎりすさんはそれを聞いてとてもうれしくて 何度も何度も おれいを言いました。

 しばらくすると ちょうちょさんやてんとう虫さんも「私たちもいれてくれませんか」とやってきました。ありさんたちは「どうぞどうぞ、はいってください。みんなで食べると ごはんがもっとおいしくなるもんね」と言って招き入れました。

 ありときりぎりす、ちょうちょさんたちは あたたかいおうちで おなかいっぱいごはんをたべました。

 きりぎりすさんは たいせつな友だちのために 心をこめて バイオリンを奏で始めました。あたたかいメロディーがひびくと べっせかいがひろがっていくようでした。美しい音色にみんなうっとり。 とてもしあわせな気持ちになりました。

 きりぎりすさんたちは、大好きな友だちがこんなにも喜んでくれたので、「もっと広い世界でぼくたちのバイオリンをきいてもらいたい、」とゆめをかたりました。ありさんたちも「すばらしいゆめだね~」「すきなことはたのしいものね~」とおうえんしてくれました。

 つぎの日、ゆきがやみ おひさまが出てきました。きりぎりすさんは たいせつな友だちにみおくられて あたたかい みなみのくにへ ゆめにむかって とびたちました。

きっとみなみのくにで きりぎりすさんたちはゆめをかなえていることでしょう。

さいごにぜんいんで「ゆうき100パーセント」をうたいました

 当日は 予想以上の緊張から 声がかすれたり、途中で頭が真っ白になった子どもたちもいました。けれども最後は声をあわせて だいすきな歌を歌うことができました。最後に「ヘイヘイヘイ!!」と 堂々とこぶしを上げた子どもたちに 見ている私も感動がこみ上げてきました。

 ほしぐみでは、4月当初から「好きなことをやっるって 楽しいね、元気がでるね、」などそれぞれの個性をみつけ、たいせつにすることを 折に触れて話してきました。

今回 『ありときりぎりす こすもすばーじょん』では そんなメッセージをこめました。

次の週 クラスで年末の掃除をした時も「いやなことも みんなでやれば たのしくできるね」「ぼくたちでがんばって、せんせいをびっくりさせようよ、」などと「楽しい、うれしい」を行動に移している子どもたちの姿がありました。

 また、月が替わるので 先のことを考えて「今からシールちょう、1月にしておこう」などと準備する子もいました。

 げきの取り組みを通して、こめられたメッセージをじんわりと生活の中に落とし込んでいる子どもたちです。

 COSMOS保育園で先生たちが 大切にしていることのひとつ、お互いリスペクトし、協力しあい、感謝しながら 「好きなこと、得意なこと(ゆめ)を仕事にして生きていく」という考え方。将来そんな道を進む子が出てきてくれると嬉しいな、思いました。